はじめに
ここ数日に少しだけOracle Cloud Infrastructure(以下:OCI)に触れ始めました。
IaaSとしてはAWSと比較するとまだサービスが少なく、各サービスの機能も物足りなさを感じます。
しかし個人利用においては圧倒的にOCIの方が良いと感じたので記事にしています。
無料枠について
個人利用におすすめできる理由としては、他のIaaSのように意図せぬ課金が発生しないところが挙げられます。
アカウントを有料アカウントにアップグレードしない限りは、無料の範囲しか利用できないので誤って無料枠の範囲を超えてしまうことがありません。
そしてOCIでの無料枠の範囲が非常に豪華なんですよね。
今回はその紹介です。
サービス | 内容 | 条件 | 備考 |
VM.Standard.E2.1.Micro | 1[OCPU] / 1 [GB]メモリを有するAMDアーキテクチャのインスタンス | 2台まで無料 | 約50[GB]のストレージがアタッチされる | VM.Standard.A1.Flex | 任意のCPUとメモリのサイズを割り当てられるARMアーキテクチャのインスタンス | 実行数の合計で4[OCPU] / 24 [GB]メモリに達するまで無料 | 約50[GB]のストレージがアタッチされる | ブロックボリュームストレージ | コンピュートインスタンスにアタッチするストレージ | 2つまで作成可能。合計で200 [GB]まで無料。 | 合計容量はブートボリュームも含む | オブジェクトストレージ | 高耐久なオブジェクト用ストレージ | 10[GB]まで無料 | アーカイブストレージも10[GB]まで無料 |
条件を満たしている限りは上記のVMサービスを永年無料で扱うことができます。
AMDアーキテクチャのインスタンス2台が無料なだけでも凄まじいですが、それに加えてARMインスタンスも指定サイズに達するまで無料で起動することができます。
無料で起動できるのに4コア、メモリ24GB、ストレージも50GB以上と考えるとかなり破格だと言えます。
私の場合はそこまで大量のメモリを必要としていないので、大きなインスタンスを1台だけ立てるのではなく上記のように複数台に分けて使っています。
ブロックボリュームストレージについてはコンピュートインスタンスにアタッチされるブートボリュームにほとんどのサイズを専有されてしまうので、活用が難しいかもしれませんね。
オブジェクトストレージサービスは、AWSで例えるとS3のようなものです。
これもアーカイブと合計で20GBも無料になるので、個人開発レベルの静的オブジェクトを格納する分には問題なさそうです。
これ以外にもAutonomous Databaseサービスやロードバランサー、VCNなどのネットワーキングサービスなど個人利用で扱う分には十分すぎる機能がAlways Freeとして提供されています。
詳しく知りたい方は公式ページの以下のURLから無料一覧をご確認ください。
https://www.oracle.com/jp/cloud/free/#always-free
コスト比較
無料枠だけではなくOCIで提供されているほとんど全てのサービスが先行IaaSと比較して圧倒的に安いポイントも魅力的です。
以下の表はAWSのEC2をオンデマンドで実行した時の価格と、OCIのコンピュートサービスを比較したものです。
IaaS | タイプ | アーキテクチャ | CPUモデル名 | vCPU | Memory | 月額費用 |
AWS | c5a.xlarge | AMD | AMD EPYC7R32 | 4 | 8GB | 15,200円 | AWS | c6g.xlarge | ARM | Neoverse-N1 | 4 | 8GB | 13,560円 | AWS | Lightsail | Intel | Xeon(R) CPU E5-2676 v3 | 2 | 8GB | 4,400円 | OCI | Standard-E4 | AMD | AMD EPYC7J13 | 4 | 8GB | 4,910円 | OCI | Ampere A1 | ARM | Neoverse-N1 | 4 | 8GB | 4,120円 |
4コア/8GBの比較ではAWSのスポットインスタンスよりも安価な価格が提供されていることがわかります。
単純なコア数だけの比較では意味がないので、採用されているCPUにも着目してみるとARMに関してはどちらもNeoverse-N1が採用されています。
これならコスト的に優れているOCIに軍配が上がりますね。
AMDでの比較ではAWSで採用されているEPYC7R32のシングルスレッド性能は1,922MOps/Secです。
一方でOCIで採用されているEPYC7J13のシングルスレッド性能は2,387MOps/Secなので、OCIの方が性能的には優位に立ちそうです。
そのため性能とコスト面のみに着目するならOCIの方が良さそうに感じますね。
おわりに
個人利用でブログを立てる場合や、ゲームサーバーを立てたいなど小さな用途の場合ではOCIを採用した方が安価になることが分かりました。
今回はコストのみの比較なので、OCIが圧倒的に良いように書いていますが、商用利用についてはまだまだAWSの方が簡単で、情報が多く、機能が多彩でリッチです。
AWSの多彩な機能も使いつつ、サーバーやデータベースはOracle上で管理して、データログ解析はGCPで行うなどのマルチクラウド構成などができればオシャレですが、IaaS同士の繋ぎこみ部分がボトルネックになる可能性や管理の複雑さの問題も出てしまいます。
このブログ記事の内容はあくまで個人利用について良いという話なので、商用利用においてはコスト以外のポイントも協議した上でどのIaaSを採用するのか決定するようにしてくださいね。
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